Project Story

最先端の技術を詰め込み
技術者20人が一丸となって取り組んだ
防衛製品の開発

防衛製品の次世代製品開発プロジェクト

  • 開発副責任者

    H.M

    2000年入社

  • 機械設計チームリーダー

    M.H

    2008年入社

  • 電気回路設計担当

    Y.S

    2013年入社

  • 参与

    H.I

    2015年入社

イントロダクション

30年ぶりの次世代製品の開発がスタートした。防衛省・防衛装備庁の技術や自衛官の方々と意見交換をしながら、機械、電気回路、ソフトウェア、高周波回路(電波関係)の多岐にわたる設計を当社各分野の技術者、総勢20名が一つのチームとなり開発に取り組んだ。

ココがポイント!


  • お客様と合意した開発完了の期限を守る
  • 次世代製品に相応しい性能の確立
  • 従来製品以上の信頼性の確保

技術の進歩に合わせた高性能製品
その製品の開発を防衛省へ提案

  • 今回のプロジェクトはどのように発生したのでしょうか?

    H.I元々、これまでの製品は、当社が30年間納品し続けてきて問題なく使っていただいていましたが、技術の進歩に伴い、当社でより高性能なものが作れること、短期間で新しい製品をできることをこちらから提案しました。このような事業の場合、必要な経費はもちろん、試験も当社だけではできないので、防衛省のご支援をいただかないとなりません。このためプロジェクトを立ち上げていただいて、当社が協力するという体制になります。そのため防衛省の担当の方々と幾度も意見交換し、納得していただけるように資料を準備し、打合せを重ねました。その際は技術部のメンバーに力を借り、わかりやすく説明ができるように工夫を重ねましたね。そうして契約に至ったのですが、諸事情により契約の締結が1年ほど遅れました。4年で製品を作り上げるスケジュールが3年での仕事になっていたのです。

プロジェクトに立ちはだかった
スケジュール問題と難易度の高い技術開発

  • いろいろと課題、問題があったそうですね

    H.M1年遅れた開発がスタートする時には、すでに防衛省との間で「いつまでに設計を完了する」「製品を作るのはこのくらいまでに」など、スケジュールがしっかり詰められた状態になりました。その中で開発を進めるのはシビアなものがあります。簡単な製品であれば開発の進行を予測しやすいのですが、今回の製品は非常に難易度の高い設計になります。当社でもいろいろな知見を重ねてきていますが、実際に試験すると予想外のことも起こります。それを想定しながらスケジュールを管理していきました。

    M.Hうまく動作しなかった場合は、出していた電波が正常だったかどうか、また試験を動画で撮っているのでどのように作動していたのか、徹底的に調べます。それを元に、こういう故障があった場合、どこに問題の可能性が考えられるか調べていき、一つずつクリアにしていきます。

    H.Mもう、シャーロックホームズの世界ですよ。どこに問題があるのか。こういうことが起こると時間がかかってしまうので、極力失敗のないように取り組みましたね。

    H.I技術のみんなもよく協力して乗り切ってくれています。防衛省でこのプロジェクトに関わっている皆様もなんとかスケジュール通りに成功させようと動いてくださって、官民で一丸となって進めている感じがありますよ。

前例のない新しい形状に挑戦
技術者として達成できた時の嬉しさは格別

  • 大きなプロジェクトでのやりがいは?

    M.H構造の設計において求められているスペックは非常に高いものでした。かなりの負荷がかかる製品にもかかわらず、たくさんのパーツが詰まっています。それらがすべて厳しい使用環境下で、無事にその性能を発揮しなくてはならない。過酷な状況の中、一部品でも故障したら失敗です。設計に当たってこれまでの当社製品を見直したりしましたが、過去に作ってきた製品には今回の部品を収めることができず、作ったことのない構造にしました。過去のものを踏襲することや実績あるものを採用することも大事なのですが、新しいものへ挑戦も技術者の使命だと思っています。当社は社内で金属部品の削り出しのための自動加工機や、基板の表面部品実装を行うマウンタ、性能評価の電波暗室(電波を出す機器の性能を正確に計測できる特殊な実験室)なども保有しているので、その工程も見ることができますし、試験にも立ち会えます。製品全体を見通して仕事ができるので技術者としてはそういうところも魅力です。新たな製品は開発過程で壁にぶつかったりもしますが、達成した時はかなり嬉しいですね。

    Y.S回路設計では、その製品内に搭載される電気回路を鶏の卵程度のサイズにまとめることに非常に苦労しました。目標とする性能向上のために採用した方式では回路規模が大きくなり部品の選定や基板のレイアウトの難易度が上がってしまったのです。これらの解決のために、新たな設備やソフトウェアを導入したり、動作シミュレーションモデルを社内で自作したりしました。また、防衛製品は十年以上生産し続けるという特徴があります。そういうことも見越して今現在の最新の部品や技術を取り入れ、設計できるところにはやりがいを感じます。どのプロジェクトでもいろいろな制約が出てきますが、その中でいろいろと工夫し、新しい技術や部品などを使ってものをつくることができるというのは、設計をしていて楽しいところです。

    M.Hはじめての試験では、現地からライブ中継してもらったのですが、やはりドキドキします。

    H.I設計上は大丈夫だろうと思っていても成功するまではね。実際、試験してみて成功した時は、みんなで「わーっ」と歓声を上げてしまいましたね。思わずガッツポーズが出るほどでしたよ。

    M.Hはい。やっぱりうまく動いた時は嬉しいですよ。

防衛製品を通して
「国民の生命と財産を守る」
「自衛官の生命と安全を守る」

  • プロジェクトに取り組みいかがでしたか?

    H.Mプロジェクトは現在も進行中です。スケジュールを遅延することなく、設計がほぼ完了して実際の使用環境での確認試験の段階です。すべての確認が取れれば量産に入ります。このプロジェクトは当社の中でも人数もお金もかけた大きな開発でした。その分、メンバーにとっては「失敗できない」というプレッシャーを感じながらもやりがいある仕事でした。私も含め、企画、設計、製造、試験および評価分析とさまざまな業務に関わることで多角的な視点から物事を考える力をつけることができました。それぞれが大きく成長したと思います。

    M.H私たちは防衛製品の開発・製造に関わっていますが、平和を維持できているというのは感慨深いものがあります。

    H.Mこれからも、防衛製品の開発・製造を通して「国民の生命と財産を守る」「自衛官の生命と安全を守る」ことに貢献していきたいと思います。