Project Story

造船後30年使い続ける電磁ログ
船に乗り込みユーザーの
使いやすさを徹底追求

電磁ログ製品刷新プロジェクト

  • プロジェクトマネージャー

    H.M

    2016年入社

  • プロジェクトリーダー

    K.K

    2014年入社

  • 電気回路設計担当

    R.T

    2017年入社

  • ソフトウェア設計担当

    M.S

    2011年入社

イントロダクション

航海事業の主力製品のひとつである対水船速を計測し航程距離を積算する“電磁ログ(船速距離計)”は、操船や運航計画に対する実行状況を確認する上で重要な航海計器であり、一度船に取り付けると30年以上使い続けられることが多い。既存製品の開発から時間が経過し、操作ユニットの視認性と操作性の向上、新機能の追加およびメンテナンス性の向上を図り、製品の魅力を向上させる刷新プロジェクトが行われた。若手が主体となり、徹底的に使い勝手を追求した製品が生まれ、販路も拡大されている。

ココがポイント!


  • 操作ユニットの視認性・操作性の向上と新規機能の追加
  • メンテナンス性向上を念頭においた開発
  • 顧客要求を満足させる製品開発のシステムの構築

時を経た機器の操作性を刷新
今、製品を使う世代が使いやすいものへ

  • 今回のプロジェクトの目的はどのようなものだったのでしょうか

    H.M当社の航海事業のメイン製品には「ジャイロコンパス」「オートパイロット」「電磁ログ」があり、今回のプロジェクトは、対水船速を計測し航程距離を積算する「電磁ログ」のリニューアルでした。船に関する製品の多くは建造時に取り付けて長い期間使うものが多く、現行の電磁ログは開発されてから多くの年月が経過しています。もちろん、機構的な問題はなく、継続して使っていただいていますが、やはり操作性は劣りつつあります。そこで、その新型を出そうと本プロジェクトが発足しました。
    具体的には操作ユニットの操作性、視認性をよくしてユーザーが使いやすくすること。またメンテナンスが必要な機器なので、サービスエンジニアやメンテナンスを担当する船員の使いやすさや安全性を改善することも目標に掲げられました。

    M.Sこれまでの機器は表示部分が昔の電卓レベルの8セグメントくらいで、そこから液晶ディスプレイを使ってさまざまな情報が表示できるものへの変更が求められました。しかし、今船に設置されている現行モデルも同時に使われていきますので、単に最新のものではなく、それらとの互換性を考慮した複雑な開発が必要となり、最初は不安もありました。

まず船に乗って製品を確認した
若手主体のプロジェクト

  • プロジェクトを進めるにあたっての課題はどのようなところだったのでしょうか

    H.Mプロジェクトは若手主体のメンバー構成であり、私自信も当社に入って日が浅かったので、電磁ログの機構を理解しつつも、現行の製品課題を正確に捉えることができていませんでした。幸いプロジェクトリーダーが以前別のプロジェクトで電磁ログに携わった経験があったので、電子回路設計担当とともに実際に船に乗って製品の使い勝手を確認してもらうところから始めました。

    K.K電磁ログについては「今の現代的な技術だったらこういう風にできるんじゃないか」という思いを持っていたので、プロジェクトメンバーに決まったときは「ついに新しくできる」と楽しみでした。船に乗り、船員から実際の扱われ方を聞いたり、メンテナンスが必要な機器なので全国に点在しているサービスエンジニアに意見を聞いたりしながら、求められる機能を製品に落とし込んでいくのはやりがいがありました。

    R.T当初、入社2年目でわからないことだらけだったので、船に行く時に緊張したのを覚えています。開発プロジェクトへの参加は初めてでしたが、開発初期段階のヒアリングや試作品ができてからの設置調整立ち合い、操作説明なども行い、実際の船の雰囲気を知ることができ勉強になりました。

    M.Sこうして若手が集めてくれた、船員やサービスエンジニアからの情報をもとにプロジェクトチーム内で「こんなやり方がいいらしい」「こうしたらいいんじゃないか」などよく話をしましたね。この過程があってユーザーの要望をかなり反映できたと思っています。

操作性、メンテナンス性の向上のほか
追求した海上で使うものとしての安全性

  • ほかにも技術的な問題などはあったのでしょうか

    K.K電磁ログのセンサは元々海水に接している状態で使用するのですが、どのくらい船底から突出させるかが重要になってきます。前の機種だと1回センサを専用の固定部分から抜いて、突出させる部分の調整をしていたのですが、今回のものはセンサを抜かずに調整できる仕様にしました。安全性が高まり、好評をいただいています。ユーザーインターフェイスのところでも今の時代にあったものを実装できました。個々の機能向上において大変なことは多々ありましたが、サービスエンジニアなどから操作性について話を聞かせてもらったことを検討し開発を進めました。関連部署との調整も最初はうまく行きませんでしたが、プロジェクトリーダーとして何度も説明を重ねコミュニケーションを取り、結果的に協力を得ながら進められてよかったと思います。

    R.T私はとにかく経験が少なく不安でしたが、設計自体は思っていたよりスムーズに行きました。しかし設計後、ひとつのユニットとして、ある程度のノイズがあったときの誤作動などを調べる際に苦戦しました。経験がないので、どこの部分をどうすれば改善するのかをなかなか見つけられなかったのです。試行錯誤し乗り越えましたが、開発業務の一連のフローもわかり、成長できたと思います。

高評価をいただいた
チームで乗り越えたプロジェクト

  • プロジェクトに取り組みいかがでしたか?

    M.Sソフトウェア設計については課題が多く大変でしたが、チームメンバーに相談し、いろいろなアイデアをもらって進められたのがよかったですね。一人では解決できなかったと思います。今まで参加したプロジェクトでは、企画資料にしたがって進めればそのまま形になることが多かったのですが、今回は、メンバーで情報を集めるところからスタートして、自分たちでつくり上げていく感じがすごくありました。新しいチャレンジがあるいい経験ができ、これをほかの分野の開発にうまく反映していければと思います。

    K.K製品が完成したのち、ヒアリング等でご協力いただいた人たちに操作性の点などで高評価をいただいたことが嬉しかったですし、シンガポールで現地のサービスエンジニアに製品説明をする機会もあり、いろいろな面で大きく成長できたプロジェクトだったと思います。

    R.T表示キーを液晶に変え「見やすくなった」「操作しやすい」など褒めてもらったり、「意見を取り入れてくれたんだ」と言われたりしたことが印象に残っています。一つのプロジェクトを経験したことによって、自分で考えて先回りして動けるようにもなりました。

    H.M今回私たちが行った、サービスエンジニアと話をしながら進めるようなタイプのプロジェクト進行は初めてで、「顧客要求を満足させるシステムを開発し新規顧客の開拓に貢献した」と社内で業績賞もいただきました。若手がよく活躍してくれて、ひとつひとつ壁を乗り越えていく感じも爽快でしたね。製品は量産に移り、プロジェクトを成功させることができ大きな達成感を感じています。